宮藤官九郎脚本、全員主役(!?)の『あまちゃん』

 
 NHKの連続テレビ小説『あまちゃん』が好調だという。視聴率が放送開始当初よりも上がっているというのだ。一昨日の4月17日(水)には
4月1日のスタート以来最高の22・0%を記録したとのこと。その辺りについて、詳しくはこちらを読んでほしい。

 ここまで絶好調の理由は、震災による大きさ影響を受けた東北であること、海女(あま)という女性の職業を取り上げていること、主演の能年玲奈さんがかわいいこと、キャストに実力派であり、曲者であったり、意外性のある人が揃っていることなども考えられる。

 今朝まで毎回欠かさずに観てきたわけではないが、宮藤官九郎さんによる脚本の力も大きいと思う。宮藤さんは『木更津キャッツアイ』『池袋ウエストゲートパーク』『タイガー&ドラゴン』など、数々のドラマや映画を手がけ、いまや日本を代表する脚本家のひとりだろう。

 宮藤さんの脚本作をすべて把握しているわけではないが、その魅力のひとつに「スピード感」があると思う。今朝の放送では、主人公アキ(能年玲奈さん)の友達の足立ユイ(橋本愛さん)が、東京に行ってアイドルになりたい、とアキに駅のホームで打ち明ける場面では、ある程度、間(ま)のあるゆったりした展開になっていたが、宮藤さんがテンポのいい流れをつくるのが得意だという印象がある。カット割り多く、音楽でいえば、140BPM(1分間に140拍)くらいのテンポといえばいいだろうか。
 
 また、テンポ以外の特長(特徴と書いてもいいが、長所と考えられるのでこう表記したい)としては、キャストにあまり優劣をつけない脚本だとも思う。登場人物によって登場頻度に違いがあるものの、たまに登場する人も、その人らしさを発揮できる部分があって、そのドラマの中でちゃんと機能している。違う言い方をすれば、登場シーンは少なくても「それぞれに、おいしい」感じ。

 たとえば、琥珀掘りの小田勉(塩見三省さん)は、何かにつけ、「琥珀」に関する発言をする。町おこしのための会議をする場面でも、「琥珀そば」だったかな、「琥珀コーヒー」だったかな、詳細は忘れてしまったけど、琥珀がらみの食べ物か飲み物を提案していた。おそらく、そんな食べ物は実在しないと思うけど。

 登場人物みんなを大切にする考え方は、宮藤さんが所属する劇団「大人計画」を主宰する松尾スズキさんの影響もあるのかもしれない。松尾さんのインタビューで何かで読んだとき、ちょっとしか舞台に登場しない人でも、「おいしい場面」を用意してあげたい、みたいなサービス精神が自分にはある、といった発言をされていた(うろ覚えだが、大筋はそのような発言だったと思う)。

 どの登場人物もおいしい、というのはある意味、吉本新喜劇にも当てはまることだろう。もちろん、吉本新喜劇にしても座長がいて、主役級に人がだれで、準主役に人がだれで、という序列はあるはずだし、芸人としての立場の違いはあるだろうが、ひとつの舞台を作り上げるという意味では、どの人も同じくらい重要だという考え方が根底にあるのではなかろうか。

 こう書きながら思ったのは、こんなこと。仮にAさん、Bさん、Cさん、Dさん、Eさんが出てくる芝居があるとする。ポスターにはAさんが大きく写っていて主役的な扱いに見え、Bさんがその相手役のように(Aさんの隣に)並んでいて準主役のような印象を受ける。その後ろにCさん、Dさん、Eさんが立っている。このような場合、一般的な脚本家であれば、Aさん、Bさんが多く登場し、Cさん、Dさん、Eさんは少し出番が少ない。

 となるかもしれないが、宮藤さんや松尾さんの脚本では、こうなっているのではなかろうか。

 Aがメインの場面:B、C、D、Eが、Aの引き立て役
 Bがメインの場面:A、C、D、Eが、Bの引き立て役
 Cがメインの場面:A、B、D、Eが、Cの引き立て役
 Dがメインの場面:A、B、C、Eが、Dの引き立て役
 Eがメインの場面:A、B、C、Dが、Eの引き立て役

 つまり、すべての俳優が「メイン」と「引き立て役」を順番(完全に均等という意味では順番ではないだろうが)にぐるぐるまわりながら、芝居を進めていくようになっているのではないだろうか。これはなんだろう、ひとつの舞台があるとして、それを観に来たお客さんがみんな喜んで帰ってくれる、ということなのか。つまり、A〜Eの俳優がそれぞれの起用について満足できるだけでなく、A〜Eそれぞれのファン(や知り合い)も観客として満足できること。

 古田敦也さんがレギュラー捕手を務めていた頃の、強かった東京ヤクルトスワローズのような演劇。あ、たとえがわかりにくいか。毎日、日替わりヒーローが出てきて、脇役だと思っていた人が大活躍して勝つ試合。

 舞台の場合、2カ月ほど稽古をして(僕が演劇に携わり、出演したときも2カ月ほど前から稽古をした)本番を迎え、それから何日も同じ舞台を続けるということが多いだろうから、毎日日替わりヒーローを登場させるわけにはいかないはずだ。毎日、主役を変えるなんてことになったら、稽古が大変すぎる。

 しかし、たとえばひとつの芝居は、10コの小さな芝居を積み上げたものだと考えたらどうか。そのうち、4つの芝居(場面)ではAさんが主役、3つの芝居(場面)ではBさんが主役、残りの3つの芝居(場面)ではC、D、Eが1つずつ主役を務める。そのような考え方。

 最後にもうひとつ、僕の考える、宮藤さんの特長。過去(それまで)のイメージを活用すること。たとえば、石田衣良さんの小説をドラマ化した『池袋ウエストゲートパーク』では、川崎麻世さんが本人役で出ていたが、たしか、かっこいい川崎麻世さんをかっこいい川崎麻世さんとして起用する場面で、(視聴者は)素直に「かっこいいなぁ」と思って見ることもできるし、「えっ、突然、川崎麻世? しかも本人役?」というサプライズの面白さもあったし、ミスマッチ的に笑うこともできた。あれは、カイヤさんと川崎麻世さんがよく話題になっていた頃だったのかなぁ。

『木更津キャッツアイ』の哀川翔さんもやはり、かっこいい役で、哀川翔さんのようなかっこいいイメージの人物を、哀川翔さんが演じるような役立ったのではないか。

 今回、アキの母親を演じる春子(小泉今日子さん)見たさに毎朝テレビの前でかまえている人もいるかもしれないが、また、別の意味で美保純さんにドキドキしている人もいるに違いない。妻の知り合いの人は、美保純さんの姿にエッチな映画を思い出したのか、「美保純さん、その節のお世話になりました」みたいなことをツイッターに書き込んでいたそうだ。これは、視聴者のひとりが勝手に想像して熱くなっただけでもいえるが、宮藤さんはきっとそういう、美保純さんへのイメージも大切にしながら脚本を書いているのだと思う。今週のあたまだったか、ウエットスーツを着た(美保純さんも海女なのだ)胸元を見せる場面があったが、ちょっとドキッとした。といっても、NHKだし、朝の連続テレビ小説だし、胸をはだけたわけでもなく、首もとまであるウエットスーツの胸元がジャンパーのあいだから見えただけなのだが。
 
 あ、全然関係ないけど、松尾スズキさんと美保純さんって似ているよなぁ。どういう意味かって? 松尾スズキさんは名字+名字みたいな名前で、美保純さんは下の名前+下の名前みたいだし。

 松尾スズキ×美保純
=松尾純(これはあり?)
 美保スズキ(これはないか)
 松尾美保(これもあり?)

 あれっ、4パターンできると思ったのに…

 宮藤さんの脚本に加え、演出による効果もきっとあるだろう。『あまちゃん』をこれからも楽しみにしようと思う。

 追記:このブログを読んだYさんから、コラボ名前の追加案をいただいた。
 スズキ純(Yさんいわく「風吹ジュンみたい」だって)


 
 
I drew this picture by iPhone App “Zen Brush”.
 

 
 
 

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iPhoneアプリ「Zen Brush」でモーニング・スケッチ

 
 モーニング・スケッチ。

 最近のお気に入り、iPhoneアプリ「Zen Brush」でスケッチ。何を描こうかとちょっと考えたけど、2秒後には身近なものにしようと決断した。
 
 

 
 
iOS app「Zen Brush」を使用。
 

 
 
 

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直感によるイメージを仕上げる作業は「つじつま合わせ」

 
「直感によって得たイメージを最後まで、絵としてきちんと仕上げる作業はやはり「つじつま合わせ」にすぎない」山口晃さん

 ほぼ日に、画家の山口晃さんへのインタビューが掲載されている。

 それを読んでいて、ちょっとニュアンスが違うかもしれないけど、漫画を描く作業は頭の中にあるイメージを(紙の上に)トレースすること、というような話をタナカカツキがしていたのを思い出した。
 デジタルのまま仕上げる場合もあるだろうから、紙の上にトレースするとは限らないが、頭の中に完成されたイメージとして出来上がっているビジュアルを、実際に目に見えるようにアウトプットするのはめちゃくちゃくちゃ面倒で、退屈な作業だ、みたいなことも口にしていたなぁ。
 
 
 

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Bus driver in the bathtub.(バスドライバー・イン・ザ・バスタブ)

 
 都バス24時間運行の構想を猪瀬知事が打ち出した。その話題をラジオで聴いていて、24時間バスタブというか、24時間いつでも入浴できる家風呂のテレビCMが以前流れていたことを思い出す。そういえば、猪瀬知事の視察先はニューヨークだったよなぁ、「ニューヨーク、入浴」としょうもないダジャレを書いてしまう私。朝からくだらなくてすいません。ところで、ニューヨークに健康ランドってあるのかなぁ。
 
 

 
 
 iOSアプリ「Zen Brush」を用い、iPhoneの画面に指で描いてみた。
 

 
 

 

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iPhoneで、Crayon Style!

 
 きょう、ダウンロードしたばかりのアプリ「Crayon Style」。クレヨンだから、細かい絵を描くというより、のびのびと、どちらかというと大ざっぱな感じで手を(指を)動かしたほうがいいのかなぁ。
 

 
 クレヨンスタイルの紹介サイトはこちら

 
iOSアプリ「Crayon Style」
 

 
 
 

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Crayon Style、初トライ!

 
 さっき、ここで知ったばかりのアプリ「Crayon Style」をダウンロードしてみた。まずは、iPadで使用。iPhoneでも使えるようだ。

 
iOSアプリ「クレヨンスタイル」


 
 
 
 

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役に立たないもの、万歳!

 
 昨日の夕刊を見ていたら(今朝になってだけど)、川端康成の命日だったようで、今朝テーブルの上に置かれていた朝日新聞を妻が声に出して読んでいた。
 

 1972年 きょう
 川端康成が自殺

 1968年に日本人初のノーベル賞作家となった川端康成が神奈川県逗子市のマンションで自殺。72歳だった。布団の中でガス管をくわえていた。遺書は見つからず、動機はわかっていない。代表作に「伊豆の踊子」「雪国」など。

 
 朝食の時間に読むのに適した話題だったかは疑問の余地がある。登校前に子どもたちが耳にすべき内容であったかどうかも微妙だが、そんな話を聞きながら、「伊豆の踊子」から連想し、「伊豆の魔法使い?」などくだらないことを口にしていた僕もホメられたものではない。隣で中2の娘はニコニコしていたが、あきれ返っていたのが本心かもしれない。
 川端康成の自殺に、昨日発生したボストンでの爆破事件の記事。朝は、明るいニュースでスタートしたいなぁと感じた、今朝である。

 

 
 統計をとったわけではないが、作家の自殺は減っているような気がする。これは良いことか、悪いことか。良いほうでいえば、作家の自殺が減少しているとすれば、良いことだといえるだろう。月並みな表現だが、命は尊いものだと思う。だから、いかなる理由があっても自殺してほしくない。しかし、悪いほうに解釈するなら、創作に行き詰まって自らの命を絶つほど、創作に命をかけていない作家が増えているのかもしれない、とも思う。
 そんなこと、お前に言われたくない。作家の人がこのブログを見たらそう思われるかもしれないが、太宰治や芥川龍之介、画家のゴッホなど身を削るように作品を生み出した人たちは少なくなかったのではないか。

 昨日、妻が茂木健一郎さんのつぶやきを教えてくれたので、ひさしぶりに見てみたら、「ビジネス書、のさばりすぎだな。オレのを含めて。」というツイートがあった。この書き込みと、作家の自殺は何の関係もないだろうけど、「ビジネス書」や「ビジネス書ふう」の本が多すぎると僕も感じていたように思える。いつもいつも気にしていていたわけではないが、書店に足を運んだり、書籍の新聞広告を目にしながらここ数年、感じていたことだ。
 
 僕のいう「ビジネス書ふう」の本とは、仕事にすぐに役立つと思わせることが書かれていたり、直接的に仕事につながるのでなくても、読んだあと何らかの効果がすぐに出そうに感じられるように書かれている本のことだ。
 前に何かで読んだものでうろ覚えだが、売れるものの条件を「便利なもの」「役に立つもの」「得するもの」というように書いていたのだが(一つめと二つめ、似てる気も)、たしかに間違ってはいながいが、それだけでは悲しすぎる。というか、役に立たなくなって、便利でなくだって、得しなくても魅力的なものや面白いものはたくさんあるのだから、「便利」「役に立つ」「得する」といった基準だけだと悲しすぎるし、つまらない。
 
 便利でなくても、役に立たなくても、得しなくてもいいんじゃね?(無理にこの言葉を使ったからか、照れくさいなぁ)。まだ読んでいないけど、村上春樹さんの新作『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』も、読んだらすぐに役に立つとかそういう本ではないのではないか、たぶん。

 役に立たないもの、万歳! くだらないもの、万歳! つまらないもの、万歳! こう口にすることで、いじめや極端な競争が減るとは思えないけど(そんな簡単なことではないだろうが)、ほおっておくとビジネス書や自己啓発書のようなものをついつい読んでしまう、自分への戒めの意味も込めて書いてみた。
 便利なもの、役に立つもの、得するものも大切だと思うけど、そうでないものも同じように大切だと思う。槙原敬之さんが歌うように「もともと特別なオンリーワン」というほど、みんながみんなスペシャル(特別)な存在ではないかもしれないけど、「もともと一応はオンリーワン」くらいではあるんじゃないかな。
 作家は身を削るべき、というようなことを書いていたはずなのに、気がついたら「もともと一応はオンリーワン」みたいな、ゆるい終わりからになってしまった。我ながら、いいかげんである。
 

 イラストは、iPhoneアプリ「Zen Brush」使用(iPadで、だけどね)。
 

 
 
 

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地下鉄で見かけた、マスクの男性

 
 先週の土曜日、東京ドームへ向かう地下鉄で見かけた男性。前髪の生え際あたりにポツっと、ホクロのような部分があるのは、絵を描くうちにボタッとなってしまったもの。アプリなのに、墨が落ちてボタッとなったようになるのだから、よくできていると感心する。
 

 
 
 iOSアプリ「Zen Brush」を使用。
 

 
 
 

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Sleeping Son

 

 I drew him by iPhone app“Zen Brush”.


 
 
 

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「Zen Brush」と日比谷線のひと

 
 
 日比谷線にて。iPhoneアプリ「Zen Brush」使用。
 

 
 
 

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