面接の採否、何を基準に決まるのか

 
 内田樹さんの著書『街場の教育論』(ミシマ社)にこんな記述がある。

 
 何を基準に採否を決めるのか?
 
 以前にある大手出版社の編集者四人とご飯を食べているときに、ちょうど就活シーズンでしたので、編集者たちに「みなさんはどういう基準で、面接のときの合否を決めているのか」と訊いたことがあります。そういう人事にかかわる重要情報を聴き出して、学生たちに教えてあげようと思ったのです。
 その編集者の方はどなたも、これまでに数百人の面接をしてきた経験者たちです。彼らが異口同音に言ったのは「会って五秒」で合格者は決まるということでした。
(中略)
 でも、「会って五秒」でどうして決められるんでしょう。そもそも、何を見て決めているんでしょう。これが就活をしている学生たちには理解不能なんですね。
 でも、それはわかるんです。“この人といっしょに仕事をしたときに、楽しく仕事ができるかどうか”、それを判断基準にしてるから。
 
 ※“と”にはさまれてる部分は、原文では言葉の右側に傍点がつけられている(縦書きなので)。

 
 面接の際の合否について、原文では他にも書かれている。面接の際に不合格の人は面接は長く(面接の場を楽しかったと感じて帰ってもらいたいから。なぜなら、その人はその後も読者になってもらいたいし、その出版社に対して悪意を持ってほしくない)、逆に合格の人は淡々と短めに面接が終わることが多い、といったことなどが書かれていて興味深い。
 この話、言われてみれば、たしかに思い当たる節がある。私はフリーランス生活が長く、面接を行う側に立つことはこれまであまりなかったが、面接を受けたことは何度かあるので合点がいく。
 同書が出版された2008年当時、内田さんは神戸女学院大学の教授をされていたはずだが、面接の採否の基準については、男女にかかわらず、今でもおおむね通用する内容ではなかろうか。もちろん、会社や業種によっても違いはあるだろうが。
 ちなみに現在、内田さんは(私の母校でもある)京都精華大学で客員教授をされているようだ。内田さんの授業を受けられるなんて、在籍している学生が羨ましい。

著者:内田樹さん
署名:街場の教育論
発行:ミシマ社

 
 

 

Yasu
  • Yasu
  • デザイナーを経て、クリエイティブディレクター、コピーライター、ライターに。「ベースボール」代表。広告&Web企画・制作、インタビュー構成をはじめ『深川福々』で4コマ漫画「鬼平太生半可帳」連載中。書籍企画・編集協力に『年がら年中長嶋茂雄』など。ラフスケッチ、サムネイル作成、撮影も。