「会田誠展は児童ポルノにあたるのか」について思うこと

 
「『全裸の少女の絵』を展示した会田誠展は『児童ポルノ』にあたるのか?」という記事を読んだ。

 それで思ったのは、児童ポルノかどうか、ということよりも、会田さんも市民団体から抗議を受けるくらい大物になったのか、ということ。会田さんは、現代美術の世界ではとっくに名の知れた存在だったと思うが、市民団体から抗議を受けたことがここまで大きく報じられることはなかったのではないか。

 僕は今回の記事を見つけたのは、ヤフーのトピックスで取り上げられていたから。会田さんの展覧会は、昨年11月から森美術館で開催中だが、都心のメジャーな美術館で個展が開かれていることで、市民団体も、会田さんの存在および、会田さんの作品をほおっておけなくなったのだろうか。

 市民団体の抗議を受けたことで、現代美術家は市民権を得る。というわけではないだろうが、このような抗議によって、さらに観客動員に拍車がかかったり、作品の価格が上がるということもあるのではないだろうか。

 市民団体の抗議が、結果的に会田さんの名をさらに世に知らしめることになっているのかもしれない。こう書きながら、赤瀬川原平さんの千円札裁判や、大島渚さん監督作の映画「愛のコリーダ」事件裁判を思い出す。いずれも芸術と犯罪の境界線が問われた裁判といっていいのではないか。

 
 今回の件について、会田さんはこのような文面を発表している。森美術館の公式ウェブサイトのニュース欄に
「会田誠展についてーー館長、アーティストからのメッセージ(2013.02.06)」にこうある。
 
 芸術を考えるうえで重要な文章だと思えるので、全文を引用させていただく。
 
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みなさまへ
                                 会田 誠
 
 僕の作品群の中には、性的なテーマとは限りませんが、人によってショッキングと受け取られる表現があると思います。そういう場合、僕は必ず、芸術における屈折表現――僕はそれをアイロニーと呼んでいますが――として使用しています(あるいは、僕個人はこの言葉をあまり使いませんが、『批評的に使用しています』と言い直してもいいのかもしれません)。けして単線的に、性的嗜好の満足、あるいは悪意の発露などを目的とすることはありません。また「万人に愛されること」「人を不快な気分にさせないこと」という制限を芸術に課してはいけないとも考えています。発表する場所や方法は法律に則ります。
 
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 最後のほうの「「万人に愛されること」「人を不快な気分にさせないこと」という制限を芸術に課してはいけないとも考えています。」という部分について、ものを生み出したり、表現する人はどう思うだろうか。自分自身へも含め、問いたいような気になる。
 
 
 

Yasu
  • Yasu
  • デザイナーを経て、クリエイティブディレクター、コピーライター、ライターに。「ベースボール」代表。広告&Web企画・制作、インタビュー構成をはじめ『深川福々』で4コマ漫画「鬼平太生半可帳」連載中。書籍企画・編集協力に『年がら年中長嶋茂雄』など。ラフスケッチ、サムネイル作成、撮影も。

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