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「アナログのすすめ」第3回
椿正雄

前回、「ターンテーブルはヤフオクで買え」と書きましたが、再度、
リサイクルショップを調査したところ、不景気のせいかターンテーブ
ルの実売価格もけっこう下がってきているようです。phono入力あり
の(つまり古い)アンプ込みで1万円以内のものも運がよければ可能
なよう。ですから、現物を見ずに購入するネットオークションが不安
な方、チェーン展開してるところ(価格がいちばん妥当)などを狙っ
てリサイクルショップまわりをおすすめします。運良くよさげなブツ
と出会ったら、どんな点をチェックしたらいいのかを書いてみます。


【中古ターンテーブルの品定め方】

まず、ちゃんと音が出るか確かめてください。まともな値段で売って
いるものなら、たいがい針もついています。お店にアンプなど確認で
きる装置もきっとあるでしょうから、ちゃんと音が出るか、そしてバ
ランスを左右に振った時、どちらも同じような音量、音質になるか、
まで確認してください。左右で音量や音質に違いがある場合、それは
アンプ、スピーカーのせいかもしれません。左右を逆につないで確認
してみましょう。それでもダメなら諦めたほうが得策です。正しいス
テレオ再生ができなければ、レコードの音をちゃんと聞くことはでき
ません。また、お店では音が出せない場合で、買って帰って試してダ
メだったら返金に応じるという約束をしてもらえない場合も、諦めた
ほうがいいと思います。買って帰ったとしても、おうちですぐに音を
出して確認できないという場合、これも諦めたほうがいいでしょう。

ちゃんと音が出たら、今度は回転が一定かを確認してください。これ
にはターンテーブル(回転部分)の側面についているストロボスコー
プというものを使います。黒と白の縞々が等間隔についている、あれ
です。通常33回転、45回転のそれぞれに電力50Hz地区(関東)用、
60Hz地区用の別々の縞が計4列あるはずです。ターンテーブルを回
転させると、ライトが当たっているところで止まって見える縞がある
はずです(これは、交流電力で光るライトが、じつは1秒間に50回
(関西では60回)点滅していることを利用した装置)。ひとつがほぼ
止まってはいるけれど、まだ左右いずれかに流れるようになっている
という場合、回転微調整ツマミで完全に停止するよう調節してみてく
ださい。このとき一応止まってはいるが、定期的に左右にブレる場
合、これはワウフラ(Wow Flatter)といって回転にムラが生じてい
ることを示しています。微小なブレならいいが、あまりひどい場合は
やめておくべき。そんなもんでレコードを聞いていると、あなたの音
感を損なうおそれがあります(笑)。では次回は、どんなターンテー
ブルが音がいいのか、を大雑把にご紹介しましょう。(09-08-24)


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「アナログのすすめ」第1回




椿正雄(Masao Tsubaki)さんのプロフィール

昭和33年東京生まれ。
下北沢のアナログ・レコード店の老舗(開店27年目)、
フラッシュ・ディスク・ランチ」のカリスマ店主(自称)(笑)。
大学生の頃、西新宿のレコード屋でバイトを始めてから
30年以上もレコード屋で働いているものの、
レコードについてのコレクター的知識や相場はいっさい勉強しない!
というモットーのため(理由は面倒だから。仕入れは「勘」でする)、
お店は常時掘り出し物であふれている。

連載「アナログのすすめ」の内容は、すべて実践で得た役に立つ知恵ばかり。
しかも、「金をかけない」がなによりもの大前提であるため、
誰でも簡単に真似できることばかりである。
ただし同じ理由により、大向こうの専門家諸氏からみればまったくの間違いだったり
することもあるかもしれないので、実践は各自自己責任で行うようにとのことです(笑)。



※このコンテンツはもともと、出版社フリースタイル発行のフリーペーパー「シモキタスタイル」で連載されていたものですが、同社と椿さんにお願いし、ここに掲載させていただくことになりました。魅力的な内容だったのと、途中で終わってしまった連載の続きを読みたかったからです。オークラボ.comのための新原稿も、椿さんにご依頼してありますので読者のみなさま、ご期待ください。

published : May 2, 2009
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